薬学教育六年制の狙いとは何か?
ツイート薬学部の修業年限が6年となりました。臨床に優れた薬剤師の育成を目的としています。実務実習で臨床経験も多く積んだ新薬剤師が病院や調剤薬局で活躍することが期待されています。
創薬偏重から臨床薬学重視への移行
薬科大学の修業年限が6年となりました。一部国公立大学・私学では、研究を目的として4年制を残しています。それに伴い、薬剤師の国家試験受験資格は6年制修了か大学院2年修了者に限定されます。この変更のための改正法が2004年に、学校教育法、薬剤師法の一部改正案として衆参両院で全会一致で可決しました。
このことは薬剤師の教育改正が時代の要請であることを示しています。過去の4年制時代には、創薬に重点が置かれていましたが、これからは臨床薬学を学んだ薬剤師の「患者のケア」に期待されています。
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五年時に長期実務実習導入
日本では医薬分業が昭和40年代に実現機運となりました。アメリカでも臨床薬学が盛んになり始めました。しかし、薬学教育改正はその時から40年の時が必要でした。4年制時代には、薬学部のカリキュラムは実に過密状態で学生は単位取得に必死でした。臨床薬学は大学院で初めて履修できる状態でした。私学ではもっと悲惨で、4年生は国家試験対策に追われてしまうのが現状でした。
その結果、国家試験に合格しても、実際の現場では臨床の知識がなく、そこでの再教育を行なう必要があったのです。このような問題を解決するのに必要な教育を再構築して長期の実務実習を取り入れました。5年時に5ヶ月間の実習を導入することで薬剤師教育・倫理教育もじっくりと行えるようになりました。
■獣医師の6年制
薬剤師よりも早く6年制を導入したのが獣医師。1978年入学生から修業年限6年で国家試験受験資格が与えられることになり、1984年入学生から6年一貫性の教育が始まった。
■臨床薬学の教官
従来、薬科大学では臨床薬学を教える教官が少なかった。6年制になって、特に新設校では病院薬局や町の薬剤師を採用して、臨床薬学担当に据える動きが目立った。
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