根拠に基づいた医療を示すEBMの概念

根拠に基づいた医療を示すEBMの概念

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患者に病気の予防法や治療法を提案したり、薬の有効性や安全性を検証するうえで、今やEBMつまり医学的な根拠を示すことは必要不可欠です。

 

根拠に基づいた医療を示すEBMの概念

 

EBMとは、1990年にカナダのマックスター大学のゴードン・ガイアット教授が提唱した概念で「根拠に基づいた医療」という意味です。それまでの疫学的な調査や実験から得た医学的な根拠を基に、その患者特有の状況と価値観を考慮して治療法や投薬法を決めるという考え方が急速に広まっています。

 

昔の医療では、医師は自身の長年の経験や勘で治療方針を決め、患者はそれを受け入れるしかありませんでした。しかし今、医療従事者は、世界中の研究者が発表する病気や薬、医療行為の安全性や有効性等に関わるデータを共有することができます。その中で、科学的な根拠のある方法のみを選び、患者それぞれに合った適切な医療を提案するのです。

 

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客観性が重視されるEBMの検証

 

EBMを確立するためには、まず具体的な課題を設定する必要があります。例えば、「慢性関節リウマチの患者に、ステロイドを投与することで、どれだけ痛みが緩和されるのか、どんな副作用を伴うのか」といった、「どんな症状の患者に」「どのような行為を行うと」「どのような結果になるか」という三段論法を組み立てます。

 

そして、その課題に沿った複数の症例を対象に研究を行い、研究結果を論文化して発表します。発表された論文ごとに研究の信頼度が判定されるのですが、その時ポイントとなるのが試験方法の適切性、試験環境の特異性、集計方法や対象群の客観性です。

 

 

これらに基づいて、研究は厳しく吟味され、QOEと呼ばれる基準でその信頼度が格付けされます。ここで最も信頼度が高いとされた論文に基づいた予防法や治療法が強く推奨され、選ばれることになるのです。実際には、年齢や性別、人種によって論文に書かれた通りの結果に違いがないか、副作用と合併症の報告に相違はないか評価され、実臨床で応用されるわけです。

 

このような方法で有効であると認められた治療法は、標準的治療法として各種疾患の治療ガイドラインに記載されています。例えば、2012年に改定された「動脈硬化性疾患予防ガイドライン」には、メタボリックシンドロームにおける運動療法や食事療法の推奨レベルはTであると記載されています。

 

 

また、新薬を開発するうえでも、実証という一番わかりやすい方法で、薬の効能や治療法を評価するEBMの考え方は、大いに活用されています。現在の医療業界において、有効かつ安全な医療を確立するために、EMBは必須基準なのです。




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