認可と申請のプロセスについて
ツイート新しい薬が開発されることで見える明るい未来は、多くの犠牲や事故の上に成り立っているといっても過言ではありません。少しでもそのようなリスクを減らすため、薬剤が認可されるために、非常に慎重で厳重な審査が行われます。
第V相臨床試験で薬剤の有効性と安全性が確認されると、やっと承認審査に出すことができます。厚生労働省の薬事・食品衛生審議会で申請を受け付けた薬剤について、国立医薬品食品衛生研究センターが化学的な評価を行います。
この評価が行われている最中、医薬品機構が原資料と申請資料の照合、臨床試験の実施基準適合性についての調査を行い、その後審議会でもう一度審議されます。ここまでの結果から、厚生労働大臣が承認の可否を決定する流れになっているのです。
一連の審査過程は、新薬の効率的な審査を目的として2000年に改変されており、もともと18カ月かかっていた承認までの平均日数を、12カ月にまで短縮できるようになったといわれています。
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承認を受けた後も、医薬品の調査は継続される
承認を得た新薬は工場で生産され、私たちの手に届きます。投薬方法や副作用についてのみならず、治験で得られた全てのデータは医療従事者に伝えられ、医師はその指示に従って患者に薬剤を処方します。薬剤が一般に普及するようになると、今度は市販後の追跡調査が始まるのです。
これは、治験による限られた人数を対象としたデータだけでなく、様々なパターンにおける薬の有効性や安全性に関するデータを集め、調査する必要があるからです。製薬メーカーに課せられた市販後の調査の項目は、大きく分けて3つあります。
1つ目は「市販直後調査」で、市販後半年間、対象の医薬品を扱う全ての医療施設における安全性の情報を集約することです。
2つ目は「使用実態調査(3年間)」で、日常診察にて病態に条件を設けず、対象医薬品を患者に投与した時の有効性と安全性に関する調査です。
3つ目は、「特別調査」と呼ばれ、小児、高齢者、妊婦、腎・肝機能障害患者、長期間服用者といった、治験では被験者とならなかった患者を対象とした調査です。
また、再審査制度といって、これら3つの調査報告を、発売後6年以内に厚生労働省に提出することになっています。再審査後も、対象医薬品の妥当性を見直す再評価が5年ごとに行われます。薬を使用した病院、販売した薬局、製薬メーカーからは副作用や感染症に関する報告が常に行われるよう制度が整っており、再評価の材料となります。
実際、発売後の調査であまり有効作用がないことが判明し、承認取り消しとなった例もあるのです。
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