治験の業務を請け負うCRO(開発業務受託機関)について
ツイート新薬が承認されるまでには、厳しい検査をいくつもクリアしなければなりません。薬の安全性を確保するためには当然のことですが、一方で難病に苦しみ、一日も早い新薬の登場を待ち望んでいる人たちもいます。精度の高い検査を迅速に行うことが、行政やメーカーにとって大きな課題となっています。
2003年の厚生労働省の資料によると、一つの薬剤が市場に出回るまでには9年から17年という年月と、200億円から300億円という巨大なコストがかかるといわれています。しかも、基礎研究段階で候補に挙げられた物質が医薬品として売り出される確率は、6千分の1から1万分の1程度を考えられています。
また、製薬業界は高付加価値、高収入の産業ではありますが、開発から製品化まで長い年月がかかるため、資金投入から回収までかなりのタイムラグがあり、業界の悩みの種となっています。そんな中、医薬品開発過程で最も時間のかかる治験の業務のみを請け負う、CRO(医薬品開発業務受託機構)と呼ばれる業態が注目されています。
製薬会社や医療機器会社の製品開発過程における一部の業務をアウトソーシングすることで、医薬品の開発にかかる時間を短縮しようというのです。CROの主な業務として、治験の企画、治験を依頼した医療機関でのモニタリング、データの集計と分析、承認申請書類の作成や市場に出回った後の追跡調査のフォローが挙げられます。
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また、開発戦略コンサルティング、薬事コンサルティング、教育研修支援等、非常に幅広い業務を請け負うのです。治験業務は、新薬開発過程で必ず発生しますが、その時期は開発状況に依存します。そのため、治験のために常に人材を確保しておくことは企業にとって非効率的なのです。
必要になった時に、専門企業や団体に業務委託することができれば、治験に掛かる膨大な時間を製薬企業内でカットすることができますし、大幅な人件費の削減にもなります。また、医薬品を直接販売する立場ではないCROは、医療機関との連携もしやすく、治験を通じて強い関係性を築くことで、より効率的にスピーディーに業務を行うことができると期待されています。そうなれば、治験の時間短縮につながると考えられているのです。
日本に進出する外資系CRO
アメリカでは30年以上も前からCROビジネスが始まっており、製薬メーカーの研究開発費の50%はCROへの委託費であると言われています。その市場規模は数兆円に達する勢いです。
日本では、平成9年に旧・厚生省で治験産業の受託に関する法的位置付が確立されたのを境に認知され始めましたが、現在すでに30社以上のCRO、40社以上のSMOが存在し、治験を行っている全国のい医療機関や大学のほとんどが、これらの企業の協力を得ていると考えられています。
日本で最初に設立されたCROはシミック社であり、今でも代表的なCROの一つです。また、あめりか大手企業も既に参入してきており、パレクセル・インターナショナル社やクインタイルズ・トランスナショナル者等が有名です。
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