医薬品業界をサポートする国の振興策
ツイート医薬品業界のさらなる発展が期待されています。日本の医薬品メーカーが国際競争に打ち勝つためには、その開発力強化のために国が振興策を掲げてバックアップする必要があります。
遺伝子など生命に関する情報が、次々と明らかになってきている現在では、医薬品メーカーそれぞれがもつバイオ技術、デジタル技術などの知識を活用して、新薬開発に挑戦しています。ライフサイエンスとも呼ばれるこれらの試みは、先進諸国では最も力が注がれている分野であり、それぞれの国で振興策が練られています。
米国では、国家戦略の一環として国立衛生研究所(The National Institute of Health)での生命科学予算を増やして基礎研究を徹底し、民間への技術伝達を活発に行えるようにしています。その他のヨーロッパ先進国、イギリス、ドイツ、フランス、などもこれに倣っています。
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医薬品の国際競争が進む中で、日本でも国の支援などの振興策が次々と打ち出されています。98年には、「大学等技術移転促進法」(TLO法)が研究開発支援として実施されました。大学が持つ技術や研究の成果を民間企業にうまく移転し、医薬品業界の学術進展や活性化を図ろうというものですが、これに対し国は承認TLO(承認を受けた技術移転機関)の活動を支援します。例えば、承認TLOへの助成金を給付したり、特許料の納付を免除したりします。
また、99年「産業活力再生特別措置法」の施行により、既存産業がもつ生産能力の向上と、産業活力の再生が図られています。これまで企業が国から依頼を受けて研究開発した場合、それにより発生した知的財産権は国のものとなっていましたが、この法律の施行後は企業のものとなることが認められました。
企業が研究開発に対する士気を高めて国内の産業を活発にするための施策です。
日本の最重要産業の一つである医薬品
内閣府に置かれる専門会議である「総合科学技術会議」が掲げた「科学技術基本計画」とは、わが国の21世紀の科学技術政策基本方針ですが、その中でライフサイエンスに最も重点が置かれています。科学技術基本計画に政府がつぎ込んだ研究開発費は01〜03年度の間に12兆6000億円にもなりますが、そのうち約1兆2000億円がライフサイエンスの分野に充てられました。
民主党政権の下、科学技術予算が一旦削減されましたが、自民党に政権交代した後に、また増額されようとしています。医薬品開発は、国同士の競争ともいえる状況です。今後も国の支援策への期待が高まっています。
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