酸化ストレスとアディポサイトカインが生活習慣病に関係している
ツイート肥満症と動脈硬化性疾患などの生活習慣病の治療を画期的に進化させる標的として、脂肪細胞と酸化ストレスが注目されています。
私達は日頃食べているたんぱく質や炭水化物を、体内で酸素を使って燃焼させてエネルギーに変えています。体に取り入れた酸素の一部が、エネルギーを作る際に活性酸素という分子に変化することがあります。この活性酸素は細胞内の情報伝達をしたり、強い酸化作用により体に侵入した細菌をやっつけたりする作用がある一方、細胞を傷つけることがあることもわかってきました。
激しい運動や、過度のストレスなどによっても、活性酸素が発生することがあります。活性酸素は大気汚染や紫外線により、空気中にも存在するので、知らず知らずのうちに体内に入っています。健康であれば、体のもつ抗酸化作用により取り除かれるのですが、過労によって活性化酸素が増え過ぎたりビタミン不足だったりすると、酸化ストレスが発生し、老化を早めたり、病気を引き起こしたりします。
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動脈硬化や高血圧の症状には、酸化ストレスが関係しています。血圧の調節はアンジオテンシンU(AU)という生体内物質によって調節されていますが、肥満や喫煙はAUを増やします。すると血管が収縮したり緊張したりするのでそのストレスにより、血管に活性化酸素が作られ、血管の動脈硬化が進んでいくという仕組みです。
このメカニズムを利用した最近の降圧薬は、AUを抑え、酸化ストレスの発生を止める働きのあるものが主流です。例えば、AUを抑えるアンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬、AUが受容体に結合しないよう阻止するアンジオテンシンU受容体拮抗薬(ARB)があります。
酸化ストレスの抑制が動脈硬化や高血圧の予防や改善に役立つだけでなく、今後はさらに多くの病気の治療ターゲットとして、利用されていくことでしょう。
アディポネクチンが動脈硬化を予防する
肥満が様々な病気の原因となることは知られていますが、その原因が脂肪細胞であることが明らかになってきました。これまで脂肪細胞は、エネルギーの燃料となる脂肪の貯蔵庫であると考えられてきましたが、最近になって生体の機能を調節する様々な生理活性物質を分泌することがわかりました。これらの物質は、アディポサイトカインと呼ばれます。
アディポとは、脂肪の意味があります。アディポサイトカインの多くは悪玉ですが、中に数少ない善玉のアディポネクチンがあり、これは血管を柔軟にし、動脈硬化を防ぎます。しかし、肥満が進み脂肪細胞の中に脂肪が増えすぎると、このアディポネクチンが急激に減って行くこともわかってきました。
生活習慣病を予防する薬として、アディポネクチンを増やす薬剤の開発が検討されています。
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