バイオベンチャーの育成のための国の支援

バイオベンチャーの育成のための国の支援

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日本の研究開発を活性化するために、国は産学官の連携を進めています。有望な研究成果を迅速に実践にうつすために、国をあげてバイオベンチャーを育成することが重要課題となっています。

 

バイオベンチャーの育成のための国の支援

 

アメリカでは、実学(実際に生活に役立つ学問)に重きを置く教育が根付いていることから、既に世界中から集めた研究者たちによって、様々な研究開発ができるよう環境が整っていますが、そのうえベンチャーの育成にも以前から熱心です。

 

アメリカは、2つのベンチャー育成の振興策をとっています。1つは、Small Business Innovative Research(SBIR)で、従業員500人以下の企業に対し最大85万ドル助成を行います。もう1つは、Small Business Technology Transfer(STTR)で、大学や非営利組織との共同研究を技術移転する事業を助成します。SBIRは助成対象企業を公募するので、競争原理がうまく働き、後に企業として成功する率が高いとされています。

 

 

日本でもアメリカのSBIRにならい、98年新事業創出促進法のもと、「中小企業技術革新制度」が定められました。しかし、アメリカがSBIRの実施を国がひとつの枠組みの中で行ったのと異なり、日本では各省庁に任せてしまったため、結果的に偏りが生まれました。

 

制度制定当初は、助成対象の多くが経済産業省関連で占められてしまいました。医薬品を管轄する厚生労働省関連では、「希少疾病医薬品の開発助成制度」と「保健医療分野の基礎的研究事業にかかる委託費」の2つだけでした。

 

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助成の強化が求められる医療関連

 

05年には法改正を行い、システムの見直しがはかられました。「中小企業の新たな事業活動の促進に関する法律」のもと省庁ごとに任されていた関連事業を、経済産業省の外局である中小企業省がまとめて管理することにしたのです。

 

その結果、厚生労働省関連の事業の多くが、厚労省のもとにある独立行政法人医薬基盤研究所に移されました。そして、「難病・疾患資源の研究」「医薬品等の基盤研究」「医薬品等の研究開発振興」の3つを掲げてそれらの事業への助成がはじまったのです。

 

 

また、他の省庁管轄の研究所でもライフサイエンスやゲノム創薬に関連した事業が増えており、創薬に関するバイオベンチャーが助成される環境が整ってきました。創薬事業は事業成立までに時間がかかり、費やした開発費用の回収にも長い時間が必要です。事業を成功させるためのリスクが高いので、今後もさらなる助成が必要とされます。

 

従来の日本の助成制度では、3月末までに使い切らなければならない研究費が12月の中旬以降に振り込まれるので、研究の時間が十分にとれない、研究者個人宛てに振り込まれるので個人所得とみなされてしまう、などの問題点もありました。現在の新しい助成制度ではこのような問題も徐々に改善されているようです。




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