国際競争力の回復を高めるためには?

国際競争力の回復を高めるためには?

このエントリーをはてなブックマークに追加  

日本の国際競争力はかつてほどの勢いがなく、低迷しています。産業の発展のために行政の取組みが望まれます。日本の医薬品業界の発展に必要なものとは何でしょうか。

 

国際競争力の回復を高めるためには?

 

スイスに本部を置くIMD(経営開発国際研究所)から毎年国別国際競争力レポートが発表されます。日本は89年〜93年は連続1位だったのにもかかわらず、その後順位を落とし、02年には30位にまで落ちました。06年に16位に上がったものの、その後10年には27位、11年26位、12年27位と、低迷を続けています。

 

科学技術力においては、世界のトップクラスを誇る日本が、なぜこのような低い評価を受けてしまうのでしょうか。それは国際経済に関する大学教育、ベンチャー企業の育成と起業風土づくり、それから若者の科学技術への関心度合い、大学と企業間の技術移転のはかどり具合などが評価されていないからです。

 

 

科学技術を引っ張っていく大学やベンチャー企業の評価が芳しくないのは、日本の産業の将来に影を落とすことになります。生命科学や基礎医学などの基礎的研究の成果があってこそ、革新的な医薬品の研究開発が可能となります。

 

そして基礎的な研究には、膨大な研究費用と人材の育成が必要なのです。医薬品研究は研究成果が流出することもあり、不確かさがつきまとうものですから、各製薬会社の責任で研究を維持することはとても大変です。これからの医薬品研究には、国家の助成の受けながら産学官(産業界、学校、官公庁)が連携していく必要があります。

 

スポンサーリンク

 

産学官の連携を進めるべき

 

TLO法(大学等技術移転促進法)により、大学の研究成果を民間企業に移転させて、活用しようとする施策があります。日本では98年に検討の上、決定されました。しかし、その後も産学連携がスムースに進んだわけではありませんでした。

 

当時の大学発ベンチャー企業は開発・設備資金の不足、技術開発スタッフの不足、営業販売スタッフの不足など、ビジネスに必要な基礎的要素の不足を訴えていました。さらに、優れた発明を識別する力、特許を素早く取得する能力、特許を企業に許可するためのマーケティング能力も不足していました。

 

 

そのような中、日本における大学発ベンチャー企業は03年の時点で531社にのぼりました。一方アメリカでは同時期2642社もが設立されていたのです。TLO数にしてもアメリカ142機関に対し、日本では31機関、ライセンスの件数はアメリカ3606件に対し、日本はわずか349件でした。

 

04〜07年このような日米の差を縮めるために、国立大学法人の研究成果を扱うTLOに対して、特許出願料を減らすなどの支援策がとられました。それにもかかわらず、IMDのランキングでは日本の国際競争力の評価は伸び悩んでいます。

 

 

これまで仕分けの対象となっていた科学技術予算が、12年の政権交代により、再び増やされると予測されており、日本の国際競争力のアップにつながることが期待されています。




このエントリーをはてなブックマークに追加