平成以降の日本の医薬分業の成熟期について
ツイート2010年度の医薬分業率は63.1%、処方箋発行数は7億6000万枚を超え、調剤金額も6兆円に達しました。数字の上では医薬分業は達成されたように見えますが、課題は山積みです。
調剤医療費の増加に伴う責任の増大
日本の人口の構成を見てみますと、現役世代(14〜64歳)が減少し、高齢者が急激に増加しています。今では5人に1人が高齢者という超高齢化社会になっています。更に2006年から総人口は減少し始めていて2025年には高齢者の占める割合がピークに達する予測です。
従って、現状の税制では収入が減少し、支出である医療費、介護費、年金などの社会保障費が急激に増加してしまい、財源が無く各制度がパンクしてしまいます。野田内閣は「社会保障と税の一体改革」に取り組んでいます。この改革とは、現在ある社会保障制度を維持していくために、新しい制度をつくり運営していこうとするものですが、同時に新たな税制を設ける必要があります。
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社会構造の変化に伴い、制度は変化していかなければなりません。医療提供体制や医療保険制度も同様です。進められてきた医薬分業や調剤薬局にも変化が求められます。実際の数値を示しますと、2010年度の医療費は36兆6000億円でした。
その内の薬局調剤医療費は6兆1000億円です。これは全医療費の16.1%を占める割合です。医薬分業を進めるうえで薬剤費が薬局に移り、また新設された技術料がそれにプラスされます。従って医薬分業が進むほど薬局調剤医療費は増加することになるのです。
日医も調剤医療費増に懸念がある
統計的な数値を見ると、医療費全体の伸びに対して調剤費の伸びが非常に大きいことが明らかです。厚労省は医療費抑制を打ち出しているにもかかわらず、この傾向が変わらないことに医療関係者は不満を持っています。日本医師会総合政策研究機構は2009年5月に、医療費全体は国民皆保険を維持するうえで増加させなければならないと述べています。
しかし、調剤費が適正な額なのか、さらに医薬分離によって医療の質が果たして向上しているのかを注意して経過を見る必要があると強調しています。薬局は薬局調剤医療費が、税金、保険料、一部負担金、すなわち全て公的資金であることを自覚しなければなりません。そして薬物療法には、何よりも安心して服用でき、かつ安全な調剤を行う義務があるのです。
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