薬剤師が1日に処理できる処方箋の枚数について
ツイート一人の薬剤師が処理できる処方せんの枚数は一日40枚と決められています。処方せんの受付から投与までの行程を処理できるのは40枚が限界と考えられているからです。
一人一日40枚が限度である調剤業務
薬事法第5条は「薬局として適合した条件を満たしている場合、許可を与える」というものです。その条件は「「薬局並びに店舗販売業および配置販売業の業務を行う体制を定める省令」に規定されています。その許可要件の一つが「40枚の処方せんに対して1名の薬剤師を置いていること」です。
調剤の業務として、受付から投与までの一連の業務をおこない、一人の患者に説明を充分行うには、一日40件の処方せんの処理が限度であるとの見解がなされているのです。ただし、この法律が作られたのは、現在のようにパソコンで処理する時代ではなく、全て手作業で行われることが前提です。
最近では調剤も進歩して、調剤マシーンも登場しています。更にこの方が正確で誤差も少ないことが実証されているのです。調剤マシーンは錠剤、カプセルには適していますが、散剤(粉薬)・水剤・注射剤などは薬剤師の手作業が必要です。調剤マシーンを使っている薬局では薬剤師の仕事は、出来上がった薬剤を監査して患者に説明するだけです。薬剤師とは、調剤を行う者、という定義がありますが、実際に機械に任せて、チェックするだけでは薬剤師と言えないのではないか?との疑問も出てきました。
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アメリカ圏は調剤助手がサポート
欧米には薬剤師のサポート業務が存在します。アメリカでは「テクニシャン」、フランスでは「調剤助手」です。彼らは補助員として簡単な調剤を行います。薬剤師はそのおかげで患者と接触し向き合うことができるのです。日本では現在、そのサポート業務は認められていませんが、将来は可能性がないとはいえません。医療の分野でも、看護師に注射など、医療行為の一部を行わせようという動きが最近出ているからです。
また、病院の薬剤師は少し事情が違います。病院では医療法に基づいて薬剤師の業務も薬局とは少し違います。病院の薬剤師数は、外来:75枚に一人、入院:80枚に一人、となっています。日本病院薬剤師会は改善を求めていますが、現実には病院収支の問題から増員は難しいようです。しかし、最近は医薬分離で医師の業務が薬剤師に移り、活躍の場が広がり業務も増えているのが実情です。今後は員数の規定見直しが議論されるかもしれません。
(薬剤師の員数規定) 1日あたりの処方せん処理枚数40枚に1人だが、眼科、耳鼻咽喉科、歯科の処方せんはそれぞれの枚数に2/3を掛けた枚数で員数を出していいことになっている。これらの診療科は複雑な処方せんがないため。
■薬局等の業務を行う体制を定める省令(一部抜粋)
第1条 薬事法第5条第2号の規定に基づく厚生労働省令で定める医薬品の調剤及び販売又は授与の業務を行う体制の基準は、次の基準とする。
1. 薬局の営業時間内は、常時、当該薬局において調剤に従事する薬剤師が勤務していること。
2. 当該薬局において、調剤に従事する薬剤師の員数が当該薬局に於ける一日平均取扱処方せん数を40で除して得た数(その数が1に満たないときは1とし、その数に1に満たない端数が生じたときはその端数は1とする)以上であること。
3. 第1類医薬品を販売し、又は授与する薬局にあっては、第1類医薬品を販売し、または授与する営業時間内は、常時、当該薬局において医薬品の販売又は授与に従事する薬剤師が勤務していること。
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