新薬申請の国際規格であるICHレギュレーション

新薬申請の国際規格であるICHレギュレーション

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グローバル化の波により、日本の医薬品市場にも外資メーカーの参入が相次ぎ、日本のメーカーも海外へ進出を始めています。国の垣根を超えた円滑な医薬品販売を実現するために、販売許可申請の世界標準化が進められています。

 

新薬申請の国際規格であるICHレギュレーション

 

医薬品の製造や販売に関する許認可基準は、各国で異なります。新薬を国外で販売するためには、販売国によって異なる承認申請手続きが必要で、非常に手間がかかります。日本、アメリカ、ヨーロッパは、91年より三極医薬品規制調和国際会議(International Conference on Harmonization)を開催し、医薬品の承認申請を国際的に統一するための調整を始めました。ここで合意された事柄は、会議の名前の頭文字をとり、ICHレギュレーションと呼ばれています。

 

会議の始まった当初は、主に医薬品規制の標準化と資源の効率的利用について、さらに薬の安全・有効性、保健衛生の向上について話し合われていました。そして95年には、市販後調査による安全性の確認、副作用症例の報告を定期的に行うことを決定しました。

 

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さらに、MedDRA(医薬品用語の国際統一用語集)の統一、情報の電子化に関する基準も議論されました。各国の医学水準を同一にするためにMedDRA統一が試みられたのですが、一度にインフォームド・コンセント、GCP,QOL,EBMなどのたくさんの用語が日本に持ち込まれることになったために、国内の医療業界が戸惑ったという経緯があります。

 

今では、日本語版のMedDRA/Jもあります。日本国内でも、医学用語を統一しようとする機運が高まり、電子カルテやDRG/PPS(診断群別包括支払い方式)の普及のためにも病名の統一は必須であるとされています。

 

現在までに、ICHにおいて新薬承認申請書のフォームを標準化するガイドラインCTD(Common Technical Document)を作成することが合意されています。

 

ICHは巨大市場を生み出すか

 

ICHでは、国際間における医薬品データのやり取りを実現するとともに、医薬品の有効性、安全性の確保では妥協しない、を合言葉にしています。そして医薬品の基準が国際的に統一されれば、医薬品市場がいずれひとつになるだろうとの期待があります。

 

世界中で10億ドル以上売上のある医薬品をブロックバスターと呼んでいますが、2012年医薬品の世界全体総売上は1兆ドル近くあり、実にその3分の1をブロックバスターが占めました。

 

次は、100億ドル以上売上げるメガブロックバスターを開発しようと、世界の大手メーカーが躍起になっているといわれています。果たしてICHは、それを実現可能にするでしょうか。




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