医薬品メーカーの要である研究開発(R&D)部門の仕事とは?
ツイート研究開発部門は、医薬品メーカーの心臓部にあたります。当然、研究開発費用として莫大な資金が投入されるわけですが、その仕事は地道の一言に尽きるのです。
医薬品メーカーの研究開発部門とは、研究部門と開発部門の二つの部門の事を指します。研究部門での仕事は、病気の予防や治療に効果がありそうな物質を探し出す事です。かつては、植物や土、鉱物といった自然界から、薬理作用のありそうな薬の種(シーズ)を探していました。
しかし現在、自然界からの薬の発見は限界を迎えていると考えられ、特定のシーズを基にして、効果が期待できそうな化合物を作り出すという方法にシフトしました。そして、作り出された化合物に期待する効能,効果があるかどうか、科学実験や動物実験を行い検証するのです。
また、先に化合物を作り出し、何かの予防や治療に使えないか検証するという方法もあります。このように、薬剤製造の根本となる「薬を作り出す」という仕事を担っているのが研究部門です。
一つの薬を作り出すためには、何千、何万という物質の中から候補を選び、目的の効能があるかどうか検証する必要があります。それらの物質一つ一つの確認作業を行うには、膨大な時間がかかります。そこで近年、コンピューターで物質のより分けを行うシステムの開発が進んでいます。
スポンサーリンク
新しい薬を開発して世に送り出す
開発部門の主な業務は、研究部門によってある程度の効能が確認された製剤について、臨床試験を行い、承認申請に必要なデータを収集することです。治験と呼ばれる臨床試験をプログラムを構築し、医療機関や医療従事者、一般の健常者や患者の協力を得てら、幾重にもわたり薬材の安全性や有効性の検証を行います。そして通常、こういった試験は数年にわたり繰り広げられるのです。
また、既に普及している医薬品に、新しい効能や適応疾患が期待できそうな場合に行う臨床試験も開発部門の担当です。承認がおりれば、今までとは別の用途に薬を使用することができる様になり、これを効能追加と言います。
具体例を挙げると、鎮痛薬として流通していたアスピリンに、血液をサラサラにする効果もあるということがわかり、抗血小板薬として不整脈の治療にも使われる様になりました。また、花粉症の薬に眠気を誘う効果があることに着目し、同じ成分で睡眠改善薬として使われる様になった例もあります。
開発部門の役割は、化学物質の様々な作用を解き明かすこと新しい可能性を見出し、それらを医薬品として承認させ、市場に出すことといえるでしょう。
ツイート