医薬品卸売業の将来性について

医薬品卸売業の将来性について

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卸売業は、医薬品メーカーと医療機関をつなぐ役割があります。マージンを収入源とするので、医療サービスが順調である限り安定した成長が見込まれます。今後は幅広い領域に営業活動を広げていくことで、業界の物流システムを形成していくと見られます。

 

医薬品卸売業の将来性について

 

医薬品卸業者は、医療用だけでも1万数千以上というとてつもない数の医薬品を扱っています。そして、日々全国16万か所以上もの医療機関や薬局に届けています。また、ユーザーである顧客の声を集め、副作用などの情報を提供するよう努めています。

 

また、医薬品は人の命に関わるものですから、災害時など緊急の場合にもすぐにユーザーのもとに届けられるように備蓄する必要があります。これらのきめ細かいサービスから、医薬品卸業は毛細血管型物流システムをもつといわれています。

 

 

医薬品卸業者は長い間、各医薬品メーカーの下で、決められた価格に従って販売を行ってきました。91年に新仕切価制度が導入されると、医薬品メーカーは医療機関と価格交渉ができなくなり、その代わりに医療機関や薬局と直接取引してきた卸売業者が価格決定を先導するようになりました。

 

メーカーの圧力がなくなり、営業活動が幅広く行えるようになった卸売業者は、次第にメーカーから離れて独自の動きを始めたのです。

 

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医薬品の物流システムである卸売業

 

卸売業がメーカーから独立するようになって、販売の形も変わってきました。従来特定のメーカーの医薬品のみを取り扱っていたのですが、メーカーの枠を越えて、様々な医薬品を扱うようになりました。そのため、卸売業者の間で熾烈な販売競争が始まりました。

 

その反面、医薬品は人の命に関わる製品なので、安定的な供給の確保が必要です。ですから、利益最優先の営業をするわけにもいきません。薬価も引き下げられ、販売価格を抑えざるを得ない状況の中、広域をカバーするドラッグストア・チェーンの進出や流通のIT化が進んでいることから、卸業の地位が脅かされつつあります。

 

価格競争に勝ち残るための手段として、卸業者は提携や合併で販売地域のシェアと売上拡大を図り、メーカーからの仕入れ条件をよくしようとする動きが出てきたのです。結果として勝ち残った卸業は各医薬品メーカーの製品を広範に取り揃えるフルライン卸へと成長していきました。

 

以前の医療品卸業者は、メーカーの営業代理ともいえる業務に留まっていましたが、このような生き残り競争の後、現在では医療品業界の物流システムをコントロールする専門性の高い産業へと変化しつつあります。




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