国際競争力の強化を目指す医薬品メーカー

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2002年厚生労働省は、「医薬品産業ビジョン」を定め、医薬品産業の国際競争力を高めるべく目標を立てました。しかし、その後5年が経過しても効果は得られず、再度振興策の立て直しをする結果となりました。

 

国際競争力の強化を目指す医薬品メーカー

 

02年厚生労働省が打ち立てた医薬品産業のビジョンとは、「技術革新から画期的な治療法や新薬が生みだされ、それらが新しい需要を生み出し、それに応えるためにさらに技術革新が生まれるといったような繰り返しが、競争を活性化させ市場拡大をもたらす」というものでした。

 

この考え方は、研究開発と売上拡大の相乗効果をベースとすることから、スパイラル発展とも呼ばれていました。しかし、それから5年経ち、世界市場において、日本で開発された大型新薬の割合はむしろ減っていき、研究開発費の面においても欧米企業に比べその差が大きく開いていきました。

 

また、欧米に比べて、新薬が市販されるまでの時間がかかり過ぎるドラッグ・ラグと呼ばれる問題も未解決であり、国際競争力が低いことを再認識する結果となってしまいました。

 

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ベンチャーの買収促進も盛り込む

 

医薬品産業が期待通りに発展しなかったことから、厚生労働省は戦略の見直しをしました。07年に「新医薬品産業ビジョン」を発表し、世界の医薬品が速やかに日本に入ってこられるよう投資を行い、新薬が促進されるよう国内市場を立て直すことを目標としました。

 

新薬の素早い承認を可能にすること、欧米レベルの創薬環境を整えることを優先していることから、今現在、大規模な治験ネットワークを整え、新薬の承認審査体制を強化しているところです。

 

 

「新医薬品産業ビジョン」の中に、「アンメット・メディカル・ニーズへの対応」が含まれています。この意味は、時代の移り変わりと共に変化する病気の構造や、次々に出現する病気に速やかに対応できる医薬品の開発力を強化する、ということです。

 

そのために新薬開発へのノウハウを持つ企業への投資、連携、買収などの戦略を促しています。実際、07年以降には第一三共、武田薬品、アステラスなどは海外のバイオベンチャーの買収に乗り出しています。

 

 

ゲノム科学、たんぱく質科学を応用する新薬開発も推進されています。抗体医薬(免疫機能である抗体を利用)、分子標的薬(特定の遺伝子や細胞表面にあるたんぱく質をターゲットにする薬)、RNA干渉薬(遺伝子の転写機能であるRNAに作用する薬)などは今後さらに発展が望まれますが、元来物作りを得意とする日本のメーカーの力が大いに発揮されることに期待がかかります。




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