オーファンドラッグの開発の意味とは?
ツイート医薬品業界では、企業には利益を追求するだけでなく社会に貢献することも求められます。企業の多くは利益が期待できなくても、それを必要とする患者のために薬の開発に尽力しています。
オーファンドラッグ(希少疾病用医薬品)とは、症例が少なく研究が充分でない病気のための薬です。ちなみにオーファンとはみなし子のことです。需要の少ない薬は、開発が成功したとしてもその後の利益につながらないとして、製薬会社の開発対象にされないことから生まれた呼び名です。
今後オーファンドラッグの振興を目指し、厚生労働省は優遇措置を設けて、助成金の支給などを行っています。助成申請のためには以下の基準を満さなければなりません。
- 国内患者数が5万人未満の重い病気対象であること
- 代わりとなる薬が存在しないこと、あるいは既存薬より明らかに有効性が高く、安全であることが期待できるなど、医療上高い必要性が認められること
- その薬が使用されるべき理論的根拠が実証されていること。開発設計が適切であり、成功の可能性が高いこと。
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高い技術が必要なオーファンドラッグの開発
厚生労働省からオーファンドラッグの開発が認められると、医薬品機構(医薬品副作用被害救済・研究振興調査機構)より開発費の2分の1が助成金として3年に渡って支給されます。
また、法人税、所得税の一定額の控除、医薬品承認審査が他よりも優先されるといった優遇処置がとられます。一般の医薬品よりもすばやく販売にこぎつけることができるのです。再審査も最大10年まで期間延長できるので、臨床現場で充分に有効性と安全性を検証していくことができます。
世界中でオーファンドラッグの振興が行われています。アメリカでは、患者数20万人未満という基準がありますが、これを超えた病気であっても、薬の開発コストの回収が難しいと判断されれば助成が認められます。また、税金控除は臨床試験研究費用の半分まで認められ、市販後は7年にわたる市場独占権も得ることができます。
オーファンドラッグを開発することは、助成を受けても採算がとれないリスクもありますが、自社の技術力を試し、社会にそれをアピールするチャンスが得られます。また、社会貢献として企業のイメージアップをはかることができます。
しかし、一番の目的は特殊な難病に苦しむ患者を救うことです。日本の医療行政がオーファンドラッグ開発のためにさらなる助成制度を確立して、日本の製薬メーカーの開発を後押しすれば、メーカーが国際社会においてもっと認められる日が来るでしょう。
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