かかりつけ薬局の役割を果たす調剤薬局
ツイート以前は薬局のみで扱われていた栄養ドリンクが医薬部外品になり、コンビニエンスストアで販売されたことにより、大人だけでなく青少年も買うようになりました。このことは、コンビニエンスストアが売れ筋商品を増やし、一方で薬局の売上を減らすことにつながっているようです。
医薬品から医薬部外品に変更するかどうかの判断は、「その作用が緩やかで、専門家からの情報が必要ではない」ことを根拠にしますから、栄養ドリンク剤を医薬部外品に変更した規制緩和はしかるべき判断だったといえます。
薬局側はドリンク剤の独占販売ができなくなったわけですから、コスメや日用品、菓子など食品まで扱うドラッグストアに規模拡大していくといった動きになるのは必然でしょう。しかし、それよりも調剤薬局として専門を極めていく方が優先すべきことではないでしょうか。
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医薬分業により、病院から独立した調剤薬局に厚生労働省が期待することは、薬を通してその地域住民の相談にのれるような、「かかりつけ薬局」になることです。薬剤師は薬を調整して売るだけでなく、薬の専門家として医療の監視とサポートを担う専門職であることを社会に浸透させることも医薬分業の目的のひとつです。
これまで医師任せだった医療を、より広範囲で高い質のサービスにしていくためにも、薬剤師を医師の従属から解き放ち、地位を高めることが必要だと国は認識しているのです。
医薬分業についての無意味な議論
医薬分業が進む中で、大手調剤薬局チェーンは病院の前に陣取る門前薬局の地位を確立しようとしています。しかしそれでは大手チェーンの一点集中になってしまう危険があります。ですから面分業といって、患者が薬局を自由に選べる体制が推し進められています。
しかし、この面分業と地域密着型の「かかりつけ薬局」育成は相いれない内容ではないかとの疑問もあがっています。かかりつけ薬局を育てるためにはマンツーマンサービスを進める点分業が必要だという見方があるからです。はじめに面分業を定着させたうえで、かかりつけ薬局を育てればよいのではないかとする国の考えには、現実的ではない、との意見も少なくありません。
調剤薬局は中途半端な存在になりつつあります。規制緩和により、ドラッグストアやコンビニの医薬品取り扱いも増え始めている中、面分業だの点分業だの議論している場合ではなく、薬剤師はその専門性をいかし、薬を通した医療サービスを提供できる地域型調剤薬局をつくっていくことが急務ではないでしょうか。
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