医薬品小売業の業態について
ツイート我が国では、西洋医学が伝来する以前から民間薬や伝統医学が存在していました。薬の販売方法にもその歴史のなごりが垣間見えますが、近年急激に増加してきた大量消費時代を反映した新しい業態の前に、それらはどうなるのでしょうか。
現在、日本には店舗販売業、卸売販売業、配置薬販売業の三つが医薬品を販売する業態として存在しています。一般国民に直接医薬品を販売する業態はこのうちの二つ、店舗販売業と配置薬販売業です(2012年6月1日、業態分類変更)。
一般用医薬品を販売したり譲ったりできるのが店舗販売業で、これは三種類に分けられます。一般的に薬局と呼ばれる業態と、一部の医薬品しか扱わない一般販売業、そして薬種商販売業です。
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薬局には薬剤の調整(調剤)を行う薬剤師が常駐し、大衆向けの一般医薬品と、医師が作成した処方箋に従って処方する医療用医薬品を販売しています。調剤を行わない、または行えない販売店は、薬事法により「薬局」を名乗ることはできません。
薬局はその役割により、保険薬局、基準薬局、介護相談薬局などと分けて呼ばれる場合があります。保険薬局とは保険調剤薬局や処方箋受付薬局などとも呼ばれ、都道府県から認可を受けて健康保険を扱う事のできる調剤薬局を指します。大衆薬を扱わず、保険調剤だけを行う薬局も少なくありません。
一方、基準薬局は、都道府県の薬剤師会の審査に基づき、「信頼できるかかりつけ薬局」と認定された薬局の呼称です。そして2000年に導入された介護保険制度の円滑な運営を目的に指定された介護相談薬局と呼ばれる薬局は、高齢者の医療相談窓口でもあります。
薬の販売は、薬剤師免許がなくてもできる
もう一つの一般販売業は、調剤は行いません。国が指定した医薬品のみを扱う販売業です。04年の薬事法の改正により、一般小売業でも風邪薬などの一部の大衆薬の販売が許可されました。続いて09年には登録販売者制度が開始され、登録販売者免許(国家資格)の取得者が販売店にいれば、指定された一般用医薬品のみ、薬剤師がいなくても販売できると決められました。
かつては日用品や化粧品とともに医薬部外品を販売していたドラッグストアが医薬品を売り始めたのも、こうした経緯によるものです。なお、薬種商販売業とは、都道府県が行う薬種商試験に合格し、医薬品販売の許可を得た販売業です。
これは、薬売りという伝統的な職種が現代に受け継がれている業態で、売る事のできる医薬品は国に指定されています。
配置薬販売業は、日本独自のシステムです。風邪薬や胃腸薬、傷薬などが入った救急箱を個人宅に預け、年に3〜4回の頻度で訪問し、使用した分の料金を徴収する仕組みで、無料で薬を常備でき、必要な時に薬が使えるなどの長所があります。
販売員との信頼関係をもとに、300年以上の歴史が続いているのがこの「置き薬」という業態です。
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