医薬品が原因となる医療過誤について
ツイート医薬品の使用には、医師、薬剤師、医療品メーカーがそれぞれの立場で細心の注意を払っています。それでもほんの些細なミスから不幸な事故を起こしてしまうことがあります。
アメリカでは、年間10万人もの人が医療事故で命を落としています。日本でも大病院での患者取り違え手術の事故が報道されました。医療事故や医療過誤といわれるこれらの間違えは、不祥事としてマスコミに取り上げられます。
医療事故を起こさないためにはまず、ヒヤリハット事例(一歩間違えれば重大事故につながったかもしれない場面のこと)と呼ばれる小さなミスをなくすことが大切です。日本医療機能評価機構によれば、2011年の1月〜12月に62万7170件ものヒヤリハット事例が報告されており、そのうち33%が薬剤関連だったことが判明しています。
調査結果から、これらのミスの中には医療関係者だけの責任とは言い切れないものが多く含まれていることもわかっています。薬剤の中には、似たような名前や容器に入っているものが多く、取り違えやすく危険だと指摘されています。
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標榜科目が医業の機能分化で増え続けている
標榜科とは、病院や診療所に表記されている診察科目のことです。医師は国家試験に通って医師免許を取ると、専門とする診療科を自由に選択することができます。昭和の頃は外科、内科、小児科、産婦人科、精神科などわかりやすい分類だったのですが、最近では医療がさらに発達し、社会の変化とともに新しい病態がみられることから、標榜科も多岐にわたるようになってきました。
外科から独立したのが整形外科や皮膚科ですし、内科からは呼吸器科、消化器科が生まれました。さらに心療内科、心臓血管外科、消化器外科など派生元がわかりにくい標榜科もたくさんあります。
標榜科が増えたことで、患者は病状に応じていくつもの科を受ける必要がでてきました。すると、診断される病名が多岐にわたり、処方薬も多種になります。受診科それぞれが処方箋を出すので、薬を用意する薬剤師は、数多くの標榜科から処方される多種多様の薬の管理に忙殺されることになります。
調剤過誤とは、薬剤師が薬を取り違えて患者に渡してしまうことですが、これを根絶する工夫の余地はまだあります。数ある薬の名称の中でたった一字違いのものがあったら、人間ですから見落としてしまうこともあるでしょう。
しかもそれが、「リ」と「ソ」や、「ア」と「マ」の違いだけだったらなおさらです。医薬品業界が取り組むべきことは薬剤開発だけではありません。医療過誤、調剤過誤を未然に防ぐために、薬の命名を改善することなども今後取り組むべき課題のひとつでしょう。
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