輸入超過となっている医薬品産業

輸入超過となっている医薬品産業

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技術立国といわれる日本ですが、医薬品では世界の中で悪戦苦闘しているようです。世界一流の研究者が揃っているはずの日本なのになぜでしょうか。日本の医薬品業界の中では、その頭脳が充分に生かされる環境が整っていないようなのです。

 

輸入超過となっている医薬品産業

 

日本の医薬品の輸出入収支はマイナス続きで、2000年以降さらに悪化し、2000億円程度で推移していた輸入超過が11年に1兆7100億円にまで増えました。国際競争力指数では、日本の多くの産業がプラスであるのに対し、医薬品産業はマイナスの状態です。

 

一体、なぜでしょうか。国内で開発された薬の海外進出が遅れていることが理由のひとつでしょう。2008年の世界の医薬品売上高の上位30品のうち日本で開発されたものは、たった5成分だけでした。上位50品でも10成分のみです。

 

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一方、日本の医薬品市場の規模は、世界第2位です。つまり、日本の医薬品市場は大きいのに、日本で開発された薬が世界には出回っていないということになります。日本は国内だけで販売されるローカルドラッグの数が多いのが実情です。

 

そのローカルドラッグも新規開発のものは欧米に比べて少なく、新薬の改良品が多いといわれています。これは日本の医薬品メーカーが開発費を抑える向きがあることと、国民健康保険でカバーされるように国内の市場に頼る傾向があるためだと思われます。

 

 

メーカーの海外進出を加速させる医療費抑制策

 

近年では、国内の医療費抑制策により売上が伸びないため、大手製薬メーカーはこれまで遅れをとっていた欧米での医薬品開発と販売に取り組む姿勢を見せています。しかし、このことが日本の医薬品産業を発展に導くという保証はありません。

 

実際、フランスやドイツでは医療費抑制政策がしかれた後、資金供給元の投資家や研究者らが国内市場に見切りをつけたことで国外へ流出し、国際競争力を失った経緯があるからです。そうはいっても、日本の医薬品産業が飛躍を遂げるには国際市場でのシェア拡大が必須です。

 

医薬品は、開発薬に新規性があり有効な作用が認められさえすれば、メーカーが大手企業でなくても世界市場においてヒットメーカーとなれる可能性があります。そのようなチャンスを現実にするためにも、早急に日本の医薬品業界の研究環境を整備し、経済的な基盤を広げていくことが必要です。




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