薬局経営に影響を与える消費税引き上げ

薬局経営に影響を与える消費税引き上げ

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政府の決定で、消費税率は段階的に引き上げられ、14年4月に8%、15年10月に10%に引き上げられます。国民生活にも影響がありますが、調剤薬局の経営に及ぼす影響はなんでしょうか。

 

薬局経営に影響を与える消費税引き上げ

 

消費税を転嫁できない調剤薬局

 

消費税は景気変動を受けない安定税です。日本では1989年竹下内閣3%導入、97年橋本内閣5%に引き上げ、今日まで継続しています。消費税は物品を購入したとき、購入側が販売元に支払います。最終的には税務署に納税します。

 

医療に関する取引は、非課税扱いです。課税対象として相応しくない、政策的に課税が適当でないものの一つです。土地、有価証券、商品券譲渡、預貯金の利子、社会保険医療の取引などが同じ扱いです。

 

ここで、医療機関が購入した医薬品、機器などは卸やメーカーに支払います。しかし、患者からは消費税を取れないので、医療機関は税を回収できません。これを損税といいます。

 

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年間数千万円に達する医療機関の損税

 

消費税が導入、増加した時に、診療報酬の上乗せをしました。各々0.76%,0.77%です。これは消費税を考慮してのことでしたが、医療関係者は補填よりも損税が大きいと言っています。現状では大学病院:数億円、公的病院:8000万円、民間病院:3000万円の損税が発生しています。日本薬剤師会では「仕入れの消費税は全額控除」を求めています。

 

現状で消費税が引き上げられると、薬価に影響が出ます。通常改訂の他消費税相当分の改訂が行われます。薬局は調剤報酬の70%が薬剤費です。もちろん仕入れ時は消費税は支払います。実際は薬価差でその消費税を補填しているのですが、10%に消費税が引き上げられると、経営悪化は加速します。薬価差に依存しない経営を考えなければ薬局は生き残れないでしょう。

 

 

■消費税と薬価
消費税が引き上げられると、薬価に上乗せする必要があるため、通常改定のほかに消費税のための薬価改定が必要となる。医療機関には消費税による損税の不満が蓄積しており、従来の仕組みを踏襲すれば損税問題が繰り返されるおそれがあり、新たな仕組みづくりが必要だろう。




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