医薬品業界の動向について。新たな転換期を迎えている現状

医薬品業界の動向について

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医薬品は、もはや人類にとって無くてはならない存在です。人間の命を支えるといった大きな役割がある一方、一つの医薬品が多大な利益をもたらすこともあります。医薬品は、常に最先端の技術が投入され、どの国も国をあげて新薬の開発に力を入れています。

 

そして今、この安定した業界は転換期を迎えているのです。

 

医薬品業界の動向について。新たな転換期を迎えている現状

 

世界の医薬品市場は年々拡大を続け、2011年には9500億ドル越え、そして2015年には1兆1000億ドルを超える見込みです。国別にみると、医薬品市場シェア約四割のアメリカ市場が一位で、続く二位の日本市場が約1147億ドル、全体の約11%を占めています。

 

さて、1999年からの十年間で、医薬品市場規模は2.4倍にも成長しました。そんな中、アメリカ市場の割合は年々低下してきているのです。通常新薬が開発されると、開発者は特許を申請し、その製品を独占的に販売します。そのため高い収益を独占的に確保することができます。

 

特許の対象ではない製品を販売する企業もたくさんありますが、自社開発を行う主力企業の大半は、開発した新薬を特許で保護し、利益を上げてきたのです。

 

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ところが2006年ごろから、主力企業の収益減が目立つようになってきました。ブロックバスターと呼ばれる一製品で1000億円以上の売上をもたらす主力商品が、相次いで特許切れを迎えたからです。

 

医薬品の特許が切れると、ジェネリック医薬品といわれる、オリジナル製品と同じ成分の医薬品が出回るようになります。アメリカでは、オリジナル製品の7〜9%程度でジェネリック医薬品が販売されます。そのため、オリジナル製品の売上は特許切れ前に比べ9割以上減少するといわれています。

 

また、世界の主力医薬品会社はアメリカに本拠地を置く場合が多く、これもアメリカ市場不振の原因の一つと考えられます。

 

 

成長のカギを握っているバイオ医薬品の開発

 

「医薬品問題における2010年問題」と言われるほど、主力商品の特許切れは2010年に集中していました。そのため企業は、経営の維持するため、2000年以降積極的に吸収・合併(M&A)を繰り返してきました。

 

これにより、企業の資本力は上がり、扱える製品が豊富になったことで、営業マンはより効率的に営業活動を行えるようになりました。新薬の開発は、製薬会社にとって生命線です。従来の医薬品は、低分子化合物を組み合わせることによって開発された低分子医薬品です。

 

 

しかし、低分子化合物の組み合わせも限界を迎えつつあります。そこで、現在は高分子化合物を利用した高分子医薬品の開発が主流となってきています。バイオ医薬品も高分子医薬品の一種です。

 

高分子化合物の扱いは難しく、より高度な設備や技術が必要で、開発コストは今まで以上に掛かるという問題があります。そのため多くの企業は、M&Aによってその問題をクリアしようと画策しているのです。巻頭に揚げた「医薬品メーカーの合従連衡」を見れば、企業がどれだけ積極的にM&Aを推進してきたのかがわかると思います。




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