国内医薬品メーカーの海外進出について

国内医薬品メーカーの海外進出について

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日本の医薬品市場シェアの大半は、限られた主力メーカーによって占められています。国内市場においては、各企業が上手く棲み分けを行い、それを維持してきました。しかし、グローバリゼーションの波によって、安定的かつ保守的なこの業界が、ついに変化しようとしています。

 

国内医薬品メーカーの海外進出について

 

日本の製薬メーカーの数は、1200社以上であると言われています。そのうちの40%が医療用医薬品を製造しており、これは国内で生産される医薬品の90%を占めています。また、企業全体の2/3が従業員数100人以下の中小企業で、1000人を超す企業は10%にすぎません。

 

しかも、年間売上2000億円以上の企業は1桁台、医薬品売上高の35%以上を上位5社で占め、75%以上を上位30社で占めているのです。日本国内の主力メーカーは、海外進出を推し進めています。

 

武田薬品を例に出すと、2008年2月にバイオ医薬品メーカーとして世界的に有名なアムジェン社と業務提携、同年4月にはアムジェン社のアメリカ子会社とミレニアム者の簡易合併、そして5月、アメリカの主力バイオ医薬品メーカーであるアルナライム社との提携を相次いで発表しました。

 

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また、2011年には南米に販路を持つスイスにナイコメッド社、翌年にはブラジルの製薬会社であるマルチラブ社の2社を買収したのです。2011年度国内2位のアステラス製薬は、2005年に山之内製薬と藤沢製薬が合併し誕生しました。

 

両社は共通して、欧米での積極的なビジネス展開を行い、新興国への進出も、他の国内メーカーに先駆けて取り組んでいました。そのため、合併時には中国の瀋陽、ロシアのモスクワにそれぞれ販売拠点を持ち、2008年にはインドのムンバイ、2009年にはブラジルのサンパウロ、2011年にはオーストラリアのニューサウスウェールスに販売会社を設立しました。

 

2010年の時点で、BRICSでの売上は300億円を超え、現在は、東欧やトルコ、アフリカ等での販売経路の拡大を図ろうとしています。

 

 

第一三共の目標は、海外売上高比率6割

 

国内第三位の第一三共は、2006年に欧米で子会社を設立、また医薬品の開発拠点アメリカを中心に6ヶ所に設置しました。そして2008年には、インド最大手の製薬会社ランバクシー者を約5000億円で買収、製品の販売経路を世界54か所にのばしました。

 

2013年度の海外売上高は6500億円に上り、これは連結売上高1兆1500億円の56.5%です。2015年度の目標は海外売上高比率60%以上であり、さらなる海外進出を目指しています、

 

その他、エーザイはブラジルやメキシコで、大正製薬もメキシコそしてマレーシアで、販社の設立や他製薬会社買収を行い、積極的に新興国へ進出しています。現在、海外での売上が全体の%以上を占める国内のメーカーはわずか9社しかありません。海外進出の推進が、国内医薬品業界全体の底上げとなることを期待されています。




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