医薬品の流通に欠かせない卸売業
ツイート医薬品卸売業は、多くのメーカーの医薬品を纏めて取り扱い、それらを必要な量や時期に応じて自在に販売します。薬を医療機関の端々まで行き渡らせる卸売業の役割とは、いわば医薬品流通の毛細血管でしょう。
医薬品卸売業には、医専と薬専があります。病院などの医療機関に薬を卸すのが医専、薬局が対象なのが薬専といい、この両部門を持つ大手の業者を総合卸と呼びます。メーカーと同様、卸売業界全体の売上は、医療品・医薬品と切っても切れない関係にあります。
医薬品卸売業者が仲介しているのは、メーカーと末端販売者である薬局や病院の間です。こうして薬を流通させる業者は、「卸売(一般)販売業」の許可を持っており、「広域卸」「卸」「販社」「販売店」などという呼称が実際的です。
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「卸」と呼ぶ場合は、もちろん卸売販売を意味します。しかし、広く認められているのは「日本医薬品卸業連合会」加盟企業(91年社、13年4月現在)です。この中で「広域卸」と呼ばれるメディバル・ホールディングス、スズケン、アルフレッサ・ホールディングス、東邦ホールディングスの大手4社は、全国もしくは複数県にまたがって業務展開をしています。地場卸、または地方卸と呼ばれるのが、その他の中小卸売業者にあたります。
広い意味においては医薬品販売業者の総称である「販社」は、業界内では「日本ジェネリック医薬品販社協会」加盟企業(85社、13年4月現在)の事です。この団体は、ジェネリックと呼ばれる廉価な一般薬を販売しており、もとは小規模または中規模の製薬メーカーの製品を主に扱ってきた企業群が、消費税導入を機会に集まったものです。
一方、扱う製品の少ない「販売店」は前述の団体に属さない販売会社で、調剤薬局などを兼業しているところもあるのが特徴です。
医薬品ディーラーとしての卸業者は、この他にも「商社」「代理店」「特約店」などと呼ばれる場合があります。一次卸はメーカーと直接取引し、二次卸は広域卸などの下でさらに仲介していますが、業界全体としては、吸収や合併により、少数大型化が盛んであると言えます。
医薬品販売の最前線であるMS
MS(Marketing Specialist)とは、卸売業者の営業担当を指します。彼らは医療機関や調剤薬局との薬の価格交渉を含めた販売活動や、MRと連携した最新の医薬品の情報提供も行います。医療行政や法律、病院経営や薬局の開業などの相談に対応できる能力が求められる立場でありながら、同時に卸業でもある為、様々なメーカーの医療品を取扱います。
その品目は開業医向けで約200種類、大規模な医療機関向けで2000種類超ともいわれ、MSには専門性より、むしろ医薬品に関する広い知識が必要です。自社製品をアグレッシブに売り込むのがMRなら、MSは医療従事者の側に立って、数多くの医薬品の中から最も適切なものを提案する立場にあると言えるでしょう。
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