特定保健用食品が医薬品業界に与える影響
ツイート1991年に発足した特定保健用食品制度が、2001年に保健機能食品制度に統合されて以来、人々の健康意識が高まっていることもあり、トクホ製品が食品会社を中心に急増しています。
特定保健用食品は2001年、栄養機能食品とともに保健機能食品に統合されました。栄養機能食品とは、厚生労働省が決めた栄養素である12種のビタミン、5種のミネラルのうち、いずれかを基準範囲内の量含んでいる食品のことで、これらの成分の効果を謳うことができます。
例えば、ビタミンB2が0.4〜12mg含まれていれば、「皮膚と粘膜の健康を維持する栄養素が採れます」というような表示ができます。不規則な食生活や加齢によって、日常の食事で補いきれない栄養を摂取するのが栄養機能食品の目的です。
「トクホ」と呼ばれる特定保健用食品は、保健的効果が医学的に実証されれば、例えば「胃腸の調子を良くする」や、「中性脂肪や血圧を改善する」といった表現を使うことができます。つまり、健康のどの領域でどんな効果があるのかについて言及して良いのです。規制の範囲であれば病名も記載できるので、健康意識の高まる中、ヒット商品となり易いといわれています。
スポンサーリンク
トクホが、製造業を活気づける
その食品が「トクホ」の許可を得るためには、人に対する臨床実験で安全性と効果を科学的に実証する必要があります。当初、「トクホ」はこれらに慣れている医薬品メーカーが中心に製造するものと考えられていました。
しかし、臨床試験を外部機関が行うようになってくると、医薬品企業以外からも続々とトクホ申請が来るようになったのです。その結果、花王の「エコナ」、サントリー「黒烏龍茶」は体脂肪抑制を、ヤクルト「蕃爽麗茶」、カルピス「健茶王」は糖尿病対策を宣伝文句に売上を伸ばしています。
また、ダイエットを助けるとしたコーラがキリンとサントリーから発売されています。医薬品メーカーからも、小林製薬「杜仲源茶」、大塚製薬「ギャバのめぐみ」が高血圧対策を、大正製薬「グルゴケア」が糖尿病対策を謳って人気を集めています。
2008年に始まったメタボリック・シンドローム健診も追い風となり、2011年トクホ商品は5175億円もの市場規模に成長しました(公益財団法人日本健康・栄養食品協会発表)。健康意識が高まる中、今後トクホはさらに市場拡大していくことでしょう。
ツイート