鎮痛薬の歴史について

鎮痛薬の歴史について

このエントリーをはてなブックマークに追加  

人は体に痛みを感じることで、体の不調を知ることができます。しかし、痛みが強くなると耐え難いものになってきます。鎮痛剤は私たちの生活になくてはならないものとして、人の生活とともに長い歴史があります。

 

鎮痛薬の歴史について。アスピリンの血小板凝集抑制効果など。

 

「愁訴」には辛い事情を明かして訴えること、という意味がありますが、医療用語としても一般に使われており、病気や障害による辛い症状を訴えることを意味します。厚生労働省の国民生活基礎調査によると、日本人の多くは長年にわたり肩こりと腰痛に愁訴を抱えています。これらの慢性疾患は重症化すると日常生活に支障が及ぶうえ、同じく慢性化する高血圧や糖尿病に比べても、薬が効きにくいとわれています。

 

肩こりや腰痛が重症になってくると鎮痛剤が処方されます。近年パソコンの普及により、これらの症状を訴える患者が増えており、長期化すると、頭痛や歯痛を引き起こすこともあることから鎮痛剤が肌身離せない、という人も少なくありません。

 

スポンサーリンク

 

鎮痛剤の記録を辿ると、紀元前400〜300年頃古代ギリシャでセイヨウシロヤナギの樹皮が用いられたことが記されています。この植物から採れるサリシンという成分に解熱鎮痛作用がありました。当時はそのまま服用したので苦味が強いうえ、胃腸障害の副作用もあったようです。

 

1897年ドイツのフェリックス・ホフマンがこのサリシンの化学処理に成功し、副作用をなくしました。製薬会社バイエル社の化学者だった彼はその後、これをさらに改良し、アスピリンという薬をつくるにいたったのです。

 

 

鎮痛作用だけじゃない鎮痛薬

 

鎮痛剤アスピリンに他の効用があるとがわかってきたのは1950年代に入ってからです。アスピリンに心臓発作や、脳卒中のリスクを減らす効果があるのではないかとの報告がなされるようになってきたのです。

 

62年には英国人研究者がアスピリンに血小板凝集抑制効果(血液を固まらせない効果)があることを科学的に実証しました。アスピリンを服用すれば、血液が固まらないので脳梗塞や心筋梗塞を防ぐことができるのです。

 

アスピリンはこうした抗血小板療法(血液を固まらせる機能のある血小板を抑える)の第一選択薬の地位を確立してきました。新薬のための物質候補が尽きつつある現在、既存の薬の中にアスピリンのように元来の目的以外の新しい効用が隠れていないか検証が進んでいます。

 

そのような薬の先駆けとして、アスピリンは高い評価を得ています。




このエントリーをはてなブックマークに追加