公定価格が決まっている医療用医薬品

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国家が情報公開と規制緩和をすすめる現代においても、日本では、医療用医薬品の価格が国の管理のもと決められています。医薬品産業の支援と医療費の抑制という国家政策をコントロールするためには、国が主導とならざるを得ないのが現状なのです。

 

公定価格が決まっている医療用医薬品

 

医療用薬品の公定価格のことを薬価といいます。日本では薬価基準制度に基づき、医療保険でカバーされる治療で使う医薬品の範囲と価格(薬価)を厚生労働省が決定します。薬価基準が、そのまま医薬品のリストと価格表になるのです。新薬が販売されるのは薬価基準に載せられた(薬価収載)後になります。

 

現状では、隔年で薬価改定が行われていますが、今後毎年行うことも検討中です。医療機関の仕入れ値と実勢市場価格をもとに改定が検討されます。市場で安く売られている薬は薬価が引き下げられるので、同じ成分のものでも商品によって薬価が異なることもでてきます。

 

調剤薬局や病院では、薬価を元に算出された薬代の一部を窓口で患者に請求します。残りは、後日保険から徴収します。実際の現場では、薬価代だけでなく処方せん料、調剤料、指導管理料などが必要に応じて加算されるので、同じ薬でも病院から買う場合と薬局から買う場合では支払い額が違います。

 

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また、薬価の算出の仕方は、その詳細まで公にされていません。ただ原則として研究開発費などのコストを基準に、薬効の高い新薬であればより高い価格に設定されます。反対に「長期収蔵品」と呼ばれる販売期間が長く、十分に市場に出回っている製品は薬価が大きく引き下げられます。なぜなら、すでに開発コストを回収していると判断されるからです。

 

医療機関は、一度に大量に注文するなどして薬価より安く仕入れることができます。それを薬価で販売すれば、薬価差益と呼ばれる儲けを手にすることができます。これまで、30〜40パーセントはあるといわれた薬価差益率ですが、最近では医療費抑制策により10パーセント程に抑えられています。

 

ジェネリック医薬品は、なかなか定着しない

 

新薬の後発品であるジェネリック薬も、開発経費がかかっていないとの判断から安い薬価に設定されます。先発品より2割から6割も安く買えるのでお得なはずなのですが、その使用率はいまだに低く、2011年では医療用医薬品全体の24.3%にとどまっています。

 

利用が定着しないジェネリックの使用促進策として、02年にはジェネリック処方箋料が引き上げられたり、08年には医師の処方にかかわらず、薬剤師がジェネリックへ変更できる権限を与えられたりするなどしていますが、使用率5〜6割の外国に比べて日本では使用が伸びていない状況です。




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